プロフィール
副会長(助産師)
砥石和子(といし かずこ)/東京医療保健大学産後ケア研究センター
東京都看護協会副会長5年目、2022年から現職。
助産師職能委員会委員、助産師職能委員会委員長の経験を経て、2022年より現職。助産師の専門性を発揮するためにはどのように活動したらよいかを考え、活動しています。

助産師職能委員会委員長
小檜山敦子(こびやま あつこ)/文京学院大学・文京学院大学大学院 教授
東京都看護協会助産師職能委員会委員長6年目。
子育て支援委員会委員、助産師職能委員会委員を経て、2021年より現職。
助産師の専門性を向上するための活動(情報提供、交流会・研修会の企画)と、助産師活動を推進するためのネットワークづくり、活動周知に力を入れています。

助産師の専門性向上を支える活動

──助産師職能委員会の活動について教えてください。

小檜山:
一言でいえば、「助産師の専門性向上を支える活動」です。具体的には、最新情報の提供や各種研修の企画、そして助産師同士のネットワークづくりを目的としたオンライン交流会の運営などに取り組んでいます。
「専門性の向上」は歴代委員長から受け継がれてきた大切なテーマであり、私たちも常にこれを意識して活動しています。

現場の助産師の皆様はすでに高い専門性を有しています。しかし、その力を現場で十分に発揮するためには、支援体制も必要です。職能委員会がその一助となれるよう活動を続けています。そのためにも、まずは私たちの存在や活動内容をもっと身近に感じていただくことが必要だと考えています。

助産師職能委員会の活動1

──看護協会に所属する意義についてどのようにお考えですか。

小檜山:
協会に属しているからこそ、一人ひとりの声を集約し、政策提言として行政に届けることができます。これこそが職能団体の大きな役割だと思います。

個人の声が組織を動かし、その組織の一員であることが、自分たちの働く環境をよりよくする原動力になっています。

産後ケアへの取り組みとネットワークづくり

──現場の助産師を取り巻く環境には、どのような課題がありますか。

砥石:
現在、助産師の多くは病院に勤務しています。本来、産後ケアは子どもが1歳になるころまで継続的な支援が必要ですが、病院という枠組みのなかでは、生後1カ月以降の母子へのフォローが難しい現状があります。その実態を把握するため、私たちは3年前に産後ケアに関する調査を実施しました。

──なぜ「産後ケア」に重点を置いているのでしょうか

砥石:
産後ケアは、助産師が専門性を最も発揮できる領域の一つだからです。近年は民間事業者の参入も進んでいますが、私たちは「助産師ならではの支援を提供したい」という思いから調査をスタートしました。その調査結果をもとに学会発表や意見交換を重ねるなかで、産後ケアの充実が社会から求められていることを改めて実感しています。

──産後ケアの専門性向上に向けて、どのような取り組みを行っているのでしょうか?

砥石:
研修では、生後3〜4カ月以降の授乳支援をはじめとする実践的な知識や技術を学べる内容を企画しています。開業助産師を講師に迎え、地域での実践経験を共有していただくなど、多角的な視点を取り入れています。

退院後の母子は地域で生活していきます。そのため、病院と地域との連携は欠かせません。病院勤務の助産師からは、「地域に戻った母子のその後を知りたい」という声が多く、そうしたニーズを調査し、研修に反映しています。

助産師職能委員会の活動2

──活動を通じて、現場にはどのような変化がみられていますか

砥石:
確実に変化を感じます。学会などで他施設の助産師と話す際、それぞれの施設が主体的に産後ケアへ取り組んでいる様子が強く伝わってきます。

──ネットワークづくりの核となっている「オンライン交流会」は、どのような経緯で始まったのでしょうか。

小檜山:
コロナ禍前は年2回ほど対面で交流会を開催していました。
しかし、感染拡大により対面開催が難しくなり、「新型コロナウイルス感染症の妊婦の母子健康手帳の扱いを他施設ではどうしているのだろう」といった、現場の疑問を共有・相談する場が必要だと感じたことがきっかけでした。
産科領域には特有の課題があり、他科の感染対策をそのまま適用できない場面もあります。また、1施設あたりの助産師の人数は限られているため、他施設の実践を知る機会が少ないという課題もありました。そこで、オンラインの手軽さを活かし、誰でも気軽に参加できる交流の場をつくろうと考えました。

──開催状況や、雰囲気について教えてください。

小檜山:
「コネミドTOKYO※」と名付けたオンライン交流会は、毎月第3木曜日に開催しており、今年で4年目を迎えました。仕組みは非常にシンプルで、一度申し込めば、毎月参加用URLが届き、キャンセルの連絡も不要です。参加は自由で、少し時間が空いたからのぞいてみよう」「気になることを聞いてみよう」といった気軽な雰囲気が特徴です。毎回9〜15人ほどが参加し、発言せずに聞くだけの参加も歓迎しています。まさに助産師同士の気軽な情報交流の場となっています。

砥石:
交流会は参加無料です。日頃の疑問や悩みを共有できる場として、ぜひ気軽に活用していただきたいですね。

助産師職能委員会の活動3

──悩みを共有しともに成長する場へ

砥石:
現場ではさまざまな悩みがありますが、「もっとよくしたい」という熱い思いを共有できる場があること自体が、一歩を踏み出せるいいきっかけになっているのではないでしょうか。

東京から全国へ広がる活動の輪

──今年度、特に力を入れていることは何でしょうか。

小檜山:
これまで取り組んできた産後ケアに関する活動を一度体系的に整理し、その成果を発信することです。調査結果をまとめた論文「東京都における宿泊型産後ケアを実施している施設の現状調査」が日本助産学会誌への掲載が決まりました。
また、日本看護管理学会学術集会のインフォメーション・エクスチェンジで交流を深めています。3年連続の企画となる今年度は「産後ケア事業のさらなる推進を図ろう!―分娩施設における産後ケア事業の安全管理体制の課題―」を発表します。東京都内だけでなく、全国の助産師に向けて発信できることを大変うれしく思っています。

こうした発信を通じて、委員会活動への理解が深まり、東京都内の助産師の皆様にも、「助産師の委員会がこれだけの活動をしている」と感じていただければと思います。

助産師職能委員会の活動4

── 今後の展望をお聞かせください。

小檜山:
まずはオンライン交流会を継続していくことです。月に一度でも、悩みを共有し、情報交換ができる場があることは、大きな安心につながります。この活動は助産師自身のためであり、最終的には母子へのよりよい支援につながるものです。

「助産師職能委員会があってよかった」と感じていただけるよう、活動を通じて全体のスキルアップに貢献できるよう、アプローチを続けていきます。今後も助産師の専門性向上と働きやすい環境づくりに貢献していきたいと考えています。

──最後に、会員の皆様へメッセージをお願いします。

小檜山:
「助産師職能委員会」という言葉に気負わず、ぜひ気軽に関わっていただきたいと思います。私たちは常に、皆様に寄り添う存在でありたいと考えています。

砥石:
まずは一度、オンライン交流会に参加してみてください。想像以上に気軽で、アットホームな場だと感じていただけると思います。

「こんな研修をしてほしい」「こういう仕組みがあるといい」といったご意見もぜひお寄せください。いただいた声を大切にしながら、これからの活動につなげていきたいと思います。

助産師職能委員会の活動5