特集 高齢者看護と地域連携

急性期のナースが在宅看護で
研修しました!

「東京都健康長寿医療センター」と「東京都看護協会立城北看護ステーション」の取り組み

東京都健康長寿医療センターでは、看護師が働きながらスキルアップを目指す「高齢者看護エキスパート研修」を実施しています。3期目に導入された「訪問看護ステーション実地研修 」は、研修受講生に強いインパクトを与え、その後の仕事にも大きな影響をもたらしたようです。
今回はこの「訪問看護ステーション実地研修」について、「スタッフを送り出した側」「受け入れた側」「研修プログラムを作った側」のインタビューをご紹介します。

「高齢者看護エキスパート研修」……東京都健康長寿医療センターが平成29年度から行っている研修。高齢者看護のエキスパートを育成する目的で、5年目以上の看護師が、1か月に1回の研修を受け、約1年半かけて、高齢者医療や倫理的な課題、他職種との協働や事例研究、リーダーシップなどを学ぶ

想像を超える変化でした

東京都健康長寿医療センター
看護部 副看護部長 成田 由香 さん
看護部 研修教育担当 綾村 可歩理 さん

研修から戻った看護師たちの表情がキラキラしていました。今までは「退院はちょっと難しいんじゃないかな」と転院や施設入所を考えていたようなケースも、「どうやったらできるだろう?」と、自ら考えて支援できるようになったのが最も大きな変化です。視野が広がり、退院後の生活がイメージできるようになったのだと思います。想像を超える変化でした。
衝撃を受けていたのは、病棟看護師だけではありません。研修前から、自宅生活について考え、退院時には自宅まで付き添っていた「在宅支援室」の看護師でさえ、「こんなふうに生活しているんだ」と驚いていました。私たちも改めて「生活を見ることの大切さ」を再認識しました

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生活の見える看護、顔の見える地域医療

東京都看護協会立城北看護ステーション
所長 竹内 里絵子

患者さんの「病院にいるときの顔」と「家にいるときの顔」は違います。また、核家族化の影響もあり、お年寄りと暮らしたことのある20~30代が以前より少なくなっています。今回、急性期の看護師が在宅の現場を見ることで、独居の方、生活保護の方、精神疾患の方などがこうやって暮らしてきたんだな、と肌で感じてもらえたと思います。
急性期病院の看護師に在宅医療の視点をもってもらえたことで、連携がしやすくなり「顔の見える地域医療」ができるようになりました。これは、私たち医療職だけでなく、患者さん(利用者様)、さらには地域全体にとって大きなメリットがあると感じました。

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地域を知らないと急性期看護はできない

東京都健康長寿医療センター
看護部 看護部長 太田 日出 さん

せっかく病気が治っても、「段差があるから」「1人暮らしだから」と、医療者が退院するのを諦めてしまっていました。ご家族も、「看護師さんが無理って言っているから」と諦めてしまう。当事者である患者さんは、自宅に帰りたくても受け入れるしかない、という場面を数多く見てきました。
でも、家っていいですよね。今回の研修で、「1人で大変だけど、段差があって不便だけど、家で過ごせて幸せ」という「生活者としての患者さん」を感じてもらえたと思います。そして、研修生たちには、それを「伝えてくれる人」になってほしい。そこから病棟全体が変わり患者さんの表情が変わり、急性期看護が大きく変わると信じています。

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